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2007-02-23: ヒトセミナー(22)-2
担当者 FukagawaH  登録日時 2007-01-30 14:02 (3077 ヒット)

日時:2007年2月23日(金) 16:20-17:35
場所:柏・総合研究棟6F 630会議室
発表者:井原泰雄
所属:東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 講師(発表時)
タイトル:文化的動物としてのヒト
キーワード:文化、進化、行動生態学、進化心理学、数理モデル

書誌:井原泰雄,文化的動物としてのヒト.ヒトセミナー要旨集, no.22, pp.2, 2007.
(本発表ならびに本要旨について引用する際は、こちらをご利用ください。)

要旨:
ヒトに顕著な性質の一つとして高い社会学習の能力が挙げられる。ヒトほど同種個体の行動によって自らの行動を変える動物は他にいない。Cavalli-Sforza and Feldman(1981)は、社会学習によって個体間で情報が伝達される過程として文化伝達を定式化した。彼らによれば、文化の種類によって伝達されやすさに違いがあるとき、文化進化、すなわち集団における文化的構成の時間にともなう変化が起こるという。個体が生得的に備えている、あるいは後天的に獲得した、文化の性質に関する好みにより、ある種類の文化は他の種類よりも容易に伝達される場合がある。伝達されやすさの違いはまた、例えば個体が多数者(同調バイアス)や成功者(名声バイアス)の行動をまねる性向をもっているときにも生じるだろう(Boyd and Richerson 1985)。これらの好みや性向の一部、また文化伝達を可能にしているヒトの神経構造はそもそも、自然淘汰によって形作られてきたものである。よって、文化は平均するとヒトの個体の繁殖成功度を増大させてきたはずだ。一方で、人々が直面する状況はあまりにも多様であり、常に適応的な意思決定を行えるとは思えない。文化進化に関する最近の理論を概観し、非適応的文化進化の可能性について数理モデルを使って議論する。

参考文献:
[1] Cavalli-Sforza, L. L., & Feldman, M. W. (1981) Cultural Transmission and Evolution: A Quantitative Approach. Princeton Univ. Press
[2] Boyd, R., & Richerson, P. J. (1985) Culture and the Evolutionary Process. Univ. Chicago Press.
[3] Durham, W. H. (1991) Coevolution: Genes, Culture, and Human Diversity. Stanford Univ. Press
[4] Ihara, Y., & Feldman, M. W. (2004) Theor. Popul. Biol. 65, 105-111.
[5] Richerson, P. J., & Boyd, R. (2005) Not by Genes Alone: How Culture Transformed Human Evolution. Univ. Chicago Press.
[6] Borenstein, E., Kendal, J., & Feldman, M. W. (2006) Theor. Popul. Biol. 70, 92-104.
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